「期待する」と「信じる」は違うのか? 〜関係を育てる“まなざし”の選び方〜

保健師でカウンセラーの下園です。

「あなたならできるって、信じてるよ」
「あなたにはもっとできるって、期待してるのに」
似ているようで、受け取る側の感じ方は大きく異なります。
支援の現場でも、子育てやパートナーシップの中でも、私たちは日々「信じる」と「期待する」を使い分けながら人と関わっています。
けれども時に、「期待」がプレッシャーになったり、「信じる」が放任と誤解されたりすることも。
今回はこの2つの違いと、それぞれをどのような場面でどう活かせばいいのか、保健師&カウンセラーの視点からお伝えします。


1.「期待する」と「信じる」は何が違うの?

一言で表すなら、
• 期待する=「○○してくれるはず」「○○であってほしい」という自分の願望に軸がある関わり
• 信じる=「この人にはきっと可能性がある」という相手の力や選択を尊重するまなざし
です。

たとえば、子どもがテストで悪い点を取ったときに、
• 「期待してたのに、どうしてできないの!」と責めてしまうのは、期待の影の側面。
• 「うまくいかなかったことも糧にできるよ」と声をかけるのは、信じる関わりです。

2.どちらが良い?ではなく、「どう使い分けるか」

状況に応じて、「信じる関わりが活きるとき」と「期待することが力になるとき」があります。

例えば・・・
★相手が挑戦の途中にいるとき
 信じる:小さな変化や努力に気づき、見守るまなざしが力になる
 期待する:ハードルが明確で「ここまでやろう」と目標を示すとやる気になる

★相手が失敗や停滞を経験しているとき
 信じる:「また挑戦できる力がある」と可能性を伝える
 期待する:×「次はきっとこうしてくれるよね」と過度な期待になると逆効果

★子育てや支援現場などの対人支援
 信じる:相手のペースや価値観を尊重することで、信頼関係が深まる
 期待する:成長の目標や希望を伝えることで、方向性の共有ができる

3.「信じる」と「期待する」の利点と注意点
「信じる」
 【利点】安心感・自己効力感を育む/関係性が深まる
 【注意点】「ただ見守るだけ」になると、支援や導きが不足することも

「期待する」
 【利点】モチベーションを高める/方向性を示す
 【注意点】押しつけ・失望・コントロールにつながる危険

4.おわりに
「期待する」ことも「信じる」ことも、どちらも相手との関係を育てたいという思いやりから生まれるもの。

大切なのは、それを相手にどう届けるかです。

あなたの声かけは、相手にとって「プレッシャー」でしょうか?
それとも「応援」に感じられているでしょうか?

ときどき立ち止まって、自分のまなざしを見つめ直してみることも、信頼関係を深める大切なケアです。

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